ご存じのように、江戸時代は不定時法が使われていました。 日の出と日の入りを基準に、それぞれを6等分して時間を区切るのが不定時法です。 このため、一時が季節によって長くなったり短くなったりします。 ここではごく大雑把に現在の夏と冬に照らし合わせてみました。 |
夏 | 冬 | 時 | 廓の動き | |
05:00 | 07:00 | 明六ツ | 卯(う) | 大門を開ける 昨日の泊まり客を見送った遊女たちがもう一眠りし始めます。 朝帰りの客は中宿や茶屋で朝粥などを食べてから帰宅するのが習慣だったようです。 中宿とは、前日登楼前に利用した船宿のことです。 上客の場合、遊女が大門まで見送りに来ます。 |
07:20 | 08:40 | 朝五ツ | 辰(たつ) | 仕事の始まり 針仕事など、吉原で商売をする人々がやってくるのがこの頃のようです。 |
09:40 | 10:20 | 朝四ツ | 巳(み) | 遊女の起床時間 物売りがさかんに行き来するのもこの時間帯のようです。 座敷の掃除や花生けなどもこの時間に行われます。 |
12:00 | 12:00 | 昼九ツ | 午(うま) | 昼見世始まる 昼見世までに遊女たちは入浴・髪結い・化粧をすませます |
14:20 | 13:40 | 昼八ツ | 未(ひつじ) | 昼見世 昼見世はあまり賑わいがなく、遊女たちは手紙を書いたり、本を読んだりして遊び半分過ごします |
16:40 | 15:20 | 昼七ツ | 申(さる) | 昼見世終わる この時間から夜見世が始まるまでに、遊女たちは食事を済ませます。 |
19:00 | 17:00 | 暮六ツ | 酉(とり) | 夜見世始まる 夜見世開始の少し前、灯りをともす頃に道中があったようです。 見世清掻き(みせすががき・単に清掻きとも)という開店を知らせるお囃子とともに遊女が張り見世につきます。 |
20:40 | 19:20 | 夜五ツ | 戌(いぬ) | 床に付く 賑やかな宴会も終わり、客と遊女は床に付きます |
22:20 | 21:40 | 夜四ツ | 亥(い) | 大門を閉じる 鐘四ツともいいます。この後は隣の潜り戸から出入りしたようです。 四ツは正規の張見世終了時間なのですが、それでは営業にさしつかえるので、この時間を四ツとは言わず、次の九ツを四ツと言い張って時間を延長していました。 |
24:00 | 24:00 | 暁九ツ | 子(ね) | 引け四ツ 正しい四ツ(鐘四ツ)に対してこちらを引け四ツといいます。 各見世も大戸を下ろし、横の潜り戸から出入りします。 金棒をならしながら火の番が回ります。 |
01:40 | 02:20 | 暁八ツ | 丑(うし) | 大引け 客のついた遊女も、つかなかった遊女も就寝時間となります。 一般的にこの時間が大引けと言われていますが、いくつかの資料によっては明治以降の呼び方としていたり、大引け=引け四ツとしていたり、未詳の部分があるようです。 |
03:20 | 04:40 | 暁七ツ | 寅(とら) | 後朝 客と遊女との別れを後朝(きぬぎぬ)といいます。 朝帰りの客を茶屋の者が迎えに来始めます。 当時非人溜と呼ばれた場所から清掃の者が来て、廓内の清掃をするのもこの時刻のようです。 |
※不定時法の時間は九ツから始まり四ツまで減らしていき、また九つに戻ります。 暁(あかつき)・明(あけ)・朝(あさ)・昼(ひる)・暮(くれ)・夜(よる)といった言葉が入ることも入らないこともあったようです。 また、十二支による呼び方は武家社会や改まった時に使われていたようです。 |